Nさん
第一事業部施設グループ 主任
2011年 契約社員として入社 第二事業部配属
2012年 正社員転換 第二事業部配属
2014年 第一事業部施設グループへ異動 紀尾井ホール貸担当
撮影協力:紀尾井ホール
小さな積み重ねが仲間を助け、公演を成功に導く。
――Nさんは大学院修了後に新卒で入社したんですね。
これといってやりたいことが決まらないまま卒業を迎えるころ、3.11が発生しました。
常識をひっくり返されるようなことが次々と起こる状況のなかで、この先どうやって生きていこうかと考えた結果、やっぱりずっと続けてきた音楽に関係する仕事がしたい!と決意し、ヴォートルチケットセンターの契約社員に応募しました。3月後半に面接で4月1日に初出勤でしたから、会社のことは内定をいただいたあとに色々調べました(笑)。まさかウルトラセブンの作曲者である冬木透さん(顧問:蒔田先生)に面接されていたとは夢にも思いませんでした。
――当初は第二事業部での入社でしたね。いまのポジションに至るまでのお話を聞かせてください。
入社当時から、チケットセンター業務以外にも奏楽堂のレセプショニストやイベント事務局業務など、幅広く経験をさせていただいている内にいつのまにか正社員になっていました。その後も出向や劇場付のセンター等さまざまな方向からチケットセンター業務に関わり、2014年からは紀尾井ホールでホールの貸出業務を担当しています。
いまの業務は、想像力やコミュニケーションが大切な仕事だと感じます。その点では、入社当時、チケット業務以外にも様々な業務で成功・失敗を経験してきたことが役立っていると思います。
――ホール貸の仕事のやりがいは?
公演の成功や、ホール稼働率アップに貢献できたと実感することです。主催者との打合せでは、公演によって多種多様なご要望が出てきますが、私達が作る打合せ表を元に当日実際に動くのは舞台・接遇・警備・清掃などその道のプロの皆さんです。私達の役割である情報収集・共有し、ホール全体として、主催者・出演者・来場者全てにご満足いただけたら何よりです。
公演後に主催者から「また来ます」という言葉をいただけたときは本当に嬉しいですし、それはホール運営に携わる全員で勝ち取ったものだと思っています。
日頃の問合せ対応でも、「○月の土日祝は空いていませんか?」と訊かれて「空いていません」と答えるのではなく、他月の土日祝や同月の金曜日を勧めたり、予約開始時期や修繕時期を説明して来年以降の営業をしてみたりと、少しでも会話をつなげることで可能性を探り、一つでも多く仮予約につなげる努力をしています。何度もやりとりを重ねて、ようやくこちらの提案と先方のニーズが合致したときは、先方担当者と一緒になって喜んでしまいます。
――紀尾井ホールはレセもヴォートルが担当しています。レセから見て、同じ社内の人がホール貸の立場でいてくれるってとても心強いと思うんですよ。
今の紀尾井ホールの貸し担当とレセプショニストはお互いに補完しあう良い関係にあると思っています。困難な課題に直面しても、レセ統括との作戦会議で対応策を見つけ出せたときの高揚感・全員でミッションクリアしたときの喜びは忘れがたいものです。
貸しは人ではなく、情報を扱う仕事です。何か月もかけて主催者とやりとりをして、長期的に情報を積み上げて判断をしていく。レセが当日上手く動いてもらえるように下準備をしていくセクションですね。
たとえば遅れてくるお客様のご案内のタイミング。「この楽章間でご案内できるかな?」と統括がふと疑問におもったとき、売止めの状況や、その日注目されている曲、主催のご要望等、統括が迷わないように情報を集めていくことが役割と思っています。実際統括で現場にいって、そんなに長時間ご主催と話せることってないじゃないですか。
――そうですね、公演直前は時間がないですからね…
レセの皆さんにも、長く活躍してもらいたいので、働きやすい環境づくりをしたいです。資料のわかりやすさとか、何かあったら社内の人間に頼れるという連携の強さといった部分をお手伝いできたらと思います。
――逆にレセから助けられることは?
いっぱいありますよ!
こちらの状況をみて、先回りして色々と確認してくれたり、うっかりミスを指摘してくれたり。いつもすみません(笑)いざというとき助けてもらえるように、細かく情報共有している面もあります。
――同じ会社だから、信頼関係もあるし、任せられる時間があるのはありがたいですよね。
こちらが身動きとれない状況でも、統括がいつの間にかフォローしてくれます。同じ社内で気兼ねなく情報共有できるのは強みです。日頃から連携して動いていると、相手の動きを覚えますしね。配属当初も、「普段はこうだよ」「貸しの先輩はこうやって判断してるよ」と統括から沢山教えてもらいました。新しい統括が立ち上がるときも、同じように返していこうと思っています。
――お互いがお互いのことをしっかり見てるんですね。
――Nさんはヴォートルってどんな会社だと思います?
一人一人が居場所を見つけられる会社です。本当に幅広い業務を請け負っていますので、自分の力を生かせる現場が必ずあると思います。挫折してくじけそうになっても、きっと誰かが必要としてくれます。出産・育児などのライフイベントを経て復帰されている方も多いですし、特に女性が社会とつながるための架け橋的存在だとも思います。
女性の多い会社ということで、丁寧で細やかなのもポイントですね。
――ヴォートルで働く人は本当に細やかですよね。私は転職組ですが、何をするにもとにかく丁寧に、意識を切り替える必要がありました。
チラシの三つ折りの仕方に始まり、挟み込みをするときの歩き方、手の組み方とか。思わぬ所作への指摘がありますよね(笑)
――その丁寧さが社内のコミュニケーションにも活きてくると思いますね。
なるほど。
――根本に「丁寧さ」があるから、同僚同士もお互いを尊重し合う風潮があるというのは、新入社員の皆さんにはよく言われます。
そうなんですね。入ってしまうとそれが普通になってますから、新しい方のそういう言葉は新鮮ですね。
――2020年の3月に紀尾井ホールで行われた顧問の蒔田先生のコンサート(ヴォートル主催)、貸し担当としてはいかがでしたか?
貸し担当人生の一つの集大成となりました。コロナ禍で無観客ライブ配信という形にはなりましたが、運営の皆様をはじめ、駆けつけたヴォートルの歴代OGOBの方々と一緒に大切な時間を共有できたのは、これまでのご褒美だったのかなと思います。
内容的にも大がかりで様々な判断が求められるうえ、貸し担当でありながらも心は主催者・・・という複雑なポジションで、終わったあとはしばらく抜け殻でしたが、インプットしてきた知識の答え合わせができたこと、改めて主催者側の気持ちを実感できたことが収穫でした。
――今後のご自身の目標は?
後任の育成に力を入れるとともに、現場の生産性向上と働きやすい環境づくりに努めていきます。
私を含め、褒められる・承認されることで人は成長すると思います。自分のやり方と違ったやり方をみても否定せず、どうしてそうやっているのかを確認をして、方法と目的が合っているか・結果がきちんと得られているのか確認できればOK。仕事の速い後輩(本当に速くて追いつかないんです・・・)には、その中身を見て時折指導することもありますが、年齢を重ねてからスピード感を育てるのって難しいので、いま持っている能力は得難いものだと伝えています。一人ひとりの良いところは違うので、色々な視点でみて、尊重し合うことを忘れないようにしたいです。
なにより、自分のやり方だけが正しいと思っていては、私自身が成長しないと思っています。ここに配属されてもう8年目だからこそ、自分自身に対しては常に内省し、学ぶ姿勢を忘れないことを心がけています。
――では正社員希望者に向けて一言お願いします。
経験の有無にかかわらず、もっと効率をあげる方法はないか・工夫できることはないかと思考し続けてみてください。小さなことでも工夫してみることが、仕事のやりがいにつながると思います。
働くことが目的ではなくて、充実した人生のために働くという大原則を忘れずに。やりがいを感じながら一つ一つの業務に向き合っていける方、大歓迎です!